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Vol.5 (1984/9[055])

<外国情報>
百日咳サ−ベイランス−米国


 1983年1月1日より12月10日までの間,330の百日咳症例がオクラホマから報告された。そのうち8月28日までに発症し,9月16日までに報告された最初の237例について詳細な分析が実施された。これらの症例はすべて,1)培養または直接蛍光抗体法で百日咳菌が証明され,2)医師により臨床的に診断がなされ,3)2週間あるいはそれ以上の期間特徴的な咳が続き,疫学的にリンクしている証拠のあるものである。52%は細菌学的に証明され,患者発生は1月から4月にかけ毎週同じ程度の発生数であり,5月から急上昇して6〜7月にピークとなった。州の77の郡のうち27から報告があった。

 89例(37%)は1歳以下の乳幼児で,そのうちの62(70%)は6ヶ月未満であった。20%が15歳以上の子供である。3ヶ月〜6歳の百日咳ワクチン接種対象グループのうち,143(60%)が発症しており,うち136はワクチン接種の記録があった。49(36%)はごく最近DPTワクチン接種の該当グループであった。

 68例(29%)が入院したが,1歳以下にかぎっていえば,56%が入院している(89例中50)。これらのうち,39は6ヶ月未満の小児である。生後3〜11ヶ月の患者のうち,百日咳ワクチン接種をうけていても日が経過した者の入院数は,ごく最近接種されたものの入院数の4.6倍である。また,この年齢層での入院患者数のうち,最近DPT接種を受けたものの数は28例中5(18%)であり,これに対し,入院しなかった22名のうち20(91%)は最近DPTをうけている。死亡例はなかった。1ヶ月と3ヶ月の例に発作がみられたが,神経系後遺症はのこさなかった。

 患者の最大数はオクラホマ郡で発生しており(57例),郡内に散在して特別な地理的連関発生とはなっていない。しかし,病気の伝播連鎖は26の場合にみられ,患者数にして136となっている。家庭から家庭に伝播する例は主として留守番子守を介するものであった。

 このオクラホマ郡での百日咳発生は,1956年以来最大のものであるが,入院率や合併症からみて,この感染症は依然として重症になりうることを証拠だてている。DPTワクチン接種を最近うけていれば,たとえ罹患しても症状が軽くてすむこともたしかである。エリスロマイシンによる化学予防は,ある場合に推奨できるが,その効果についてはかならずしも保証できない。

 DPTワクチンは3回接種であるが,1回のみではほとんど効果がなく,2回接種では一部の子供のみに効果があろう。きめられた方法で3回接種することが肝要である。

(WHO,WER,59,28,1984)






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