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(1)1984年3月ホテルにおけるパーティーによって食中毒が発生した。客216名と従業員21名の問診で回答した179名中71(40%)が喫食後24〜36時間で発症した。症状は下痢(69%),嘔吐(54%),胃痛(61%)などで,90%において2症状以上(平均3症状),期間は1〜7日(中間値2日)が回答された。食品別発症率はカキが有意に高かった。患者の便材料から電顕で7例中6にパルボ類似のsmall round featureless粒子がみられた。接触者1名ではNorwalk様small round virusが検出された。ここでみられた長い潜伏期と嘔吐50%,さらに2〜3日で回復するというパタ−ンは今までの貝類食中毒のそれと一致する。最近こうした例からNorwalk様ウイルスまたは今回と同じパルボウイルス様粒子がしばしば検出される。カキは半殻つきで当日まで凍結されていた。凍結保存はウイルスの感染効率を低下させない。
(CDR,84/33,1984)
(2)1983年12月6日夕方のカクテルパーティーの出席者が8日以降発症した。77人の問診で30種以上の食物中カキが最も疑われた。カキを食べた25人中22人(81%)が1個以上の喫食で発症したが,食べなかった50人では1人のみが7日後に発症した。主な症状は嘔気,発熱,嘔吐,腹痛,下痢および手足痛であった。カキは半加工され半殻に入れて凍結してあった。内部のプ−ルから大腸菌がgあたり4個みられたが,ビブリオは分離されなかった。患者便材料4例中3からパルボ様featureless small round virusが認められた。1検体はさらにsmall round structured particleがみえた。
(CDR,84/36,1984)
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