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Vol.8 (1987/2[084])

<特集>
ロタウイルス 1981−1986


厚生省サーベイランス事業の患者情報によると乳児嘔吐下痢症およびその他の感染性下痢症の発生数は毎年12〜1月に急峻なピークを作る。ところが1985/86年のシーズンでは12月の発生の立ち上がりが遅れ,ピークは1月に持ち越された形となった(図1)。これを反映して両疾患とも年単位で集計した患者報告数は1985年が1984年より少なく,これに対し1986年はシステム開始以来最高の患者数となった(表1)。

 ロタウイルスの検出は上記2疾患の患者発生のパターンと一致して7〜8月が少なく冬期に増加する。1985/86年のシーズンでは12月が少なく1〜2月に急増した(図2)。

 表2に1981年8月から1986年7月までのロタウイルス検出例について,8月から翌年7月までの期間を流行単位として集計した。年齢群別の割合は各年ともほとんど変動がなく,0歳児が約4割,1〜4歳児が約5割であり,5歳以上は4〜8%である。

 1985年8月から1986年7月までにロタウイルスが検出された1,189例中臨床診断名が記載されていたのは553例でこのうち乳児嘔吐下痢症は436例(78.8%),その他の感染性下痢症が98例(17.7%)であった。

ロタウイルスが検出された方法を上記1,189例についてみると,R-PHA624例,電顕435例,酵素抗体法118例,その他(Latex凝集反応)89例であった(同一の検体について複数の方法で検出された例がある)。最近は電顕以外の方法による検出報告が多い。

0〜1歳児のロタウイルス検出例について臨床症状をみると,胃腸炎以外に発熱が約3割,上気道炎が1割程度みられる。この上気道炎については,毎年流行期がインフルエンザとほとんど重なり合うために,インフルエンザの影響が疑われる。しかし,1985/86年の冬期はインフルエンザの流行が例年になく早く,ピークは12月で1月以降ほとんど発生がみられなかった (本月報82号参照)。 それに対し,ロタウイルスの拡がりが遅れたために両ウイルスの流行のピークがずれる結果となった。このような状況のもとにロタウイルスが検出された0〜1歳児の例について臨床症状を過去4年と比較したのが表3である。1985/86年の上気道炎の割合は9.5%で,これは今までの最低であるが,明確な低下とはなっていない。



図1.乳児嘔吐下痢症とその他の感染性下痢症の患者発生状況(厚生省感染症サーベイランス情報)
表1.年次別患者発生報告数(感染症サーベイランス情報)
図2.胃腸炎症状のあったものの便からの月別ウイルス検出状況(1985年8月〜1986年7月)
表2.ロタウイルス検出例の年齢分布
表3.ロタウイルスが検出された0〜1歳児の臨床症状(複数回答あり)





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