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Vol.15 (1994/6[172])

<外国情報>
劇症型A群レンサ球菌感染症−英国


 英国グロスターシャー地方で1994年2月以来7名が劇症型A群レンサ球菌感染症に罹患し,うち3名が死亡した。2名は組織壊死,1名は敗血症で関節炎を併発した。初発の2名の患者は発症前に同一病院で手術を受けていたことが判明したが,あとの5名は地域で感染したと考えられた。5名中2名は糖尿病,1名はステロイド剤の長期使用者であった。患者は4名が女,3名が男,年齢は46〜68歳であった。7名中5名からA群レンサ球菌が検出された。5名から分離されたA群レンサ球菌はM型別で4つの型に分かれた。検出されたM型はM1が2,M3,M5,型別不能がそれぞれ1であった。当局はPHLSを中心に専門家を加えた研究班を組織し,微生物学および疫学的調査に着手した。さらに英国全土のサーベイランスの強化を指示した。調査の要点は以下の通りである。@劇症型A群レンサ球菌感染症サーベイランスの強化:患者発生数と発生様式(集発/散発)および患者の臨床症状の把握を行う。菌検出には血液,髄液,その他常在菌のない部位の検体を用いる。分離菌はPHLSのレンサ球菌レファレンス室に送付し,分離菌のM型,遺伝子型,病原因子の解析を行う。A組織壊死患者のサーベイランス:サーベイランスの対象となる患者の診断基準を示した(診断基準については 本月報vol. 15,bS,p. 3,1994を参照)。

 劇症型A群レンサ球菌感染症が疑われた患者には早急にベンジルペニシリンを投与する(クリンダマイシンとの併用も可)。なお,英国における本症の発生数は過去3年と同レベルで,16週現在,A群レンサ球菌の血液からの検出数は200(1993年同期212,1992年同期200)であった。

(CDSC,CDR,4,21,97,1994)






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