HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.16 (1995/3[181])

<国内情報>
わが国におけるHIV感染の状況について(平成6年12月末現在)


厚生省エイズ結核感染症課



T. エイズ患者およびHIV感染者の状況(法施行前・後の累計)

1. 現 状(表1)

 報告された累計の患者数は889人で,その感染原因別の内訳は,異性間の性的接触133人,同性間の性的接触126人,静注薬物濫用4人,母子感染7人,凝固因子製剤485人,その他・不明134人である。

 累計のHIV感染者数は3,233人で,同じく内訳は,異性間の性的接触719人,同性間の性的接触271人,静注薬物濫用10人,母子感染6人,凝固因子製剤1,792人,その他・不明435人である。

2. 年次推移(表2)

 (1)平成6年中に届けられたエイズ患者およびHIV感染者(以下「患者・感染者」という)は435人であった。これは前年の364人に比べ71人,19.5%の増加となった。

 (2)性別では,男性は前年の208人から平成6年の291人へと増加しており,女性は前年の156人から平成6年の144人へと7.7%の減少となっている。

 (3)国籍別では,日本人は男女ともに増加の傾向にあるが,外国人男性は増加しているものの,外国人女性については,平成6年では102人と平成4年の274人をピークとして引き続き減少傾向にある。

 (4)感染原因別では,異性間の性的接触によるものが平成4年のピークとして減少傾向にあったが,再び増加に転じており,特に日本人は男女ともに増加が著しい。また,同性間の性的接触によるものが前年の58人から平成6年の114人へと96.6%の著しい増加となっている。

3. 報告地域(表3:本月報Vol.16,No.2参照

 患者・感染者(法施行前・後の累計)を都道府県別にみると,佐賀県を除き全国から報告されているが,そのうち,67.0%が関東地方からの報告となっている。

U. 法施行後の患者・感染者の状況

1. 性別構成(表4)

 「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」(エイズ予防法,以下「法」という)施行後(平成元年2月17日〜)から平成6年末までに届け出られた患者・感染者1,706人中,男性は945人(55.4%),女性は761人(44.6%)である。このうち日本人では821人中,男性691人(84.2%),女性130人(15.8%)と男性が多いが,これに対して,外国人では885人中,男性254人(28.7%),女性631人(71.3%)と,女性の割合が高くなっている。

2. 年齢構成(表5)

 法施行後に届けられた患者・感染者の年齢構成をみると,20歳代と30歳代で全体の70.4%を占めている。

 性別でみると,男性のピークが30歳代で33.1%を占め,20歳代および40歳代が各々26.3%および25.4%を占めている。これに対して,女性は20歳代が73.9%を占めており,特に,外国人女性の約8割が20歳代であることから,女性の方がより若い世代に感染が集中しているといえる。

3. 感染原因・感染地域(表6〜8)

 法施行後に届けられた患者・感染者を感染原因別にみると,異性間の性的接触が最も多く全体の47.2%を占め,ついで同性間の性的接触が19.1%となっている。

 これを性・国籍別にみると,日本人男性では,患者・感染者691人のうち,異性間の性的接触による感染が276人(39.9%),同性間の性的接触が275人(39.8%)であり,外国人男性では患者・感染者254人のうち異性間の性的接触が82人(32.3%),同性間の性的接触が50人(19.7%)となっている。男性においては,異性間の性的接触による感染が若干多い。

 女性においては,異性間の性的接触によるものが,日本人の患者・感染者130人のうち99人(76.2%),外国人631人のうち348人(55.2%)である。

 異性間の性的接触による感染について感染地域をみると,日本人では男女とも国内での感染の方が海外での感染よりも多く,外国人では海外での感染が多い。

 同性間の性的接触の感染地域については,日本人では近年,国内における感染が増加している。



表1. エイズ患者・HIV感染者の感染原因別累計数
表2. 患者・感染者数の性・感染原因別年次推移
表2−1. エイズ患者数の性・感染原因別年次推移
表4. 患者・感染者の国籍・性別報告数(法施行後累計)
表5. 患者・感染者の性・年齢階級別報告数(法施行後累計)
表6. 患者・感染者の性・国籍・感染原因別報告数(法施行後累計)
表7. 異性間の性的接触における患者・感染者の性・感染地域別年次推移(法施行後)
表8. 同性間の性的接触における患者・感染者の国籍・感染地域別年次推移(法施行後)





前へ 次へ
copyright
IASR